ビットコイン決済が普及しにくい理由と、オフチェーン取引という解決策

ビットコインをはじめとする仮想通貨が投資対象として大きな話題になっていますが、一方で、決済通貨としての仮想通貨の普及にはまだまだ課題があるようです。

ビットコイン決済が普及しにくい理由

ビットコインによる決済が普及しない理由としてよく挙げられるのは、ビットコインでの支払いを受け付ける場所が少ないということです。

しかし、利用可能な店舗等が少ないこと以外に、もっと根本的な問題があります。それは、ビットコインが少額の支払いに向いていないということです。

ビットコインを支払いに使う、すなわち自分が保有するビットコインを他者へ送金する際には、手数料を上乗せした額を送金しなければなりません。この手数料は、取引の処理(承認)作業を行うマイナーが受け取る収入となります。

ブロックチェーンのしくみ

2017.11.20

ビットコイン送金時の手数料の金額は基本的にユーザー側で自由に設定するもので、0円とすることも可能です。

しかし現在では、手数料0円で送金を行うことは実質的に不可能になっています。なぜなら、マイナーはより高い手数料が設定されている取引ほど優先的に処理対象とし、手数料0円の設定の取引はなかなか処理してもらえない可能性が高いからです。

よくある疑問が、「販売所で仮想通貨を売買する際にもマイナーに支払う手数料が必要なのか」というものですが、多くの販売所で、仮想通貨を売買する際の手数料は「無料」と表記されています。

販売所で仮想通貨を売買する場合、実際には「販売所が保有するコインを、販売所が設定した手数料が上乗せされた価格で、ユーザーが販売所を相手に売買する」という形になります。つまり販売所での売買は「手数料無料」というより、「手数料込みの価格で売買する」ということになります。

現在ではビットコインの取引量が非常に多くなり、ユーザーは他者に対してビットコインを送金する際、迅速に取引が処理されるようにするためには、以前より高い手数料を設定しなければならなくなってきました。2015年頃までは手数料0円でも送金が可能でしたが、現在は手数料の相場が高騰しているため、手数料を0円とした場合、いつまでたっても処理が行われない可能性が高くなっています。

下記の通り、2017年11月2日時点で、承認待ち状態の取引の数は2万件近い数字になっています。

2017年11月2日15時31分時点の承認待ち取引の数
Blockchain.infoより)

このようにビットコインの送金の際には手数料が必要なのですが、これがビットコインによる少額の支払いがやりづらくなっている原因です。

ビットコインは0.000001BTCのような非常に小さな数量をやり取りすることもでき、このような少額の支払いをマイクロペイメントと呼びます。しかし最近では1回の取引時に必要な手数料の額が上昇しているため、少額の支払いの場合だと、支払う金額よりも手数料の方が高くなってしまうということが起こり得ます。これが、ビットコインが少額の決済に向かない理由です。

ほかにも、取引の処理スピードがクレジットカードなどの場合と比べて遅いことなどもあり、ビットコインは現在のところ、日常的な決済には使いにくい通貨となってしまっているのです。

オフチェーン取引とは

上記のようなビットコインの問題点を解決するものとして提案されているのが、オフチェーンでの取引です。オフチェーンでの取引とは、ビットコインのブロックチェーンの外で取引を行い、後で最終的な取引の結果のみをブロックチェーンに送信することです。

例えば、AさんとBさんの間で、次の図のように5回のビットコインのやり取りを行ったとします。従来の取引のしかただと、取引のたびに取引記録をブロックチェーンに送信することで、5回分の手数料が発生してしまいます。

オフチェーンで取引を行う方式にすると、いくつかの取引をブロックチェーンの外で行い、その最終的な結果のみをブロックチェーンに送ることにより、手数料を抑えることが可能です。

たとえば上記の例では、Aさんが最終的に合計0.5BTCをBさんに送り、Bさんが合計0.6BTCをAさんに送っているので、総括するとBさんからAさんへ0.1BTCが送金されたことになります。

2者間での5回の取引はブロックチェーンの外で行い、「BさんからAさんへ0.1BTC送金」という最終的な取引結果だけをブロックチェーンに送ります。こうすることで、ブロックチェーン上での取引の処理のために支払う手数料が少なくて済みます。

オフチェーン取引のメリット

オフチェーン取引を行うことができるようになれば、少額のやり取りも手数料を気にせずに行えるようになります。また、取引のたびに約10分かかる承認作業を必要とすることもなくなるので、即時の取引ができ、決済通貨としての利便性がぐっと向上します。

それだけでなく、ブロックチェーンに送られる取引記録の総量が小さくなるため、ブロックの容量が圧迫されるブロックサイズ問題への1つの解決策としても注目されています。

オフチェーン取引を行うためには、まだ解決しなければならない技術的な課題がいくつか残されていますが、実用化に向けた開発が進められています。

2017年10月には、オフチェーン取引による決済システムを導入したウェブサイト「Y’alls」が試験的にリリースされました。このサイトはユーザーがブログ記事のような文章を投稿したり、他のユーザーが投稿した文章を読んだりすることができるプラットフォームで、文章を最後まで読むためには、ユーザーはあらかじめデポジットしておいたビットコインで0.01ドルを支払うというシステムになっています。オフチェーン取引により、このような少額の支払いが可能になりつつあるのです。

このようにまだ試験的な段階ではありますが、オフチェーン取引が実用化されれば、仮想通貨の可能性はさらに広がっていくことが期待されます。