仮想通貨を利用したICOとは

2017年10月27日、日本の金融庁HPに「ICO(Initial Coin Offering)について ~利用者及び事業者に対する注意喚起~」と題した文書が掲載されました。

最近ニュースになることが徐々に多くなってきたものの、「ビットコイン」や「仮想通貨」などと比べてまだまだ知名度の低い「ICO」について、解説していきます。

ICOとは?

ICOとは、仮想通貨を利用した新たな資金調達の方法で、次のような流れで行われます。

まず、新商品や新サービスの開発など、新たなプロジェクトの展開のために資金を必要とする企業や個人が、世界中の投資家からビットコインなどの仮想通貨による出資を募ります。このとき資金調達者は、「ホワイトペーパー」と呼ばれる事業計画書を公開し、開発予定のサービスや行おうとするプロジェクトについて説明します。

この出資は、対象の仮想通貨を保有している人ならば、インターネット上で世界中から誰でも簡単に行うことができます。

投資家から仮想通貨が集まると、資金調達者はそれを資金としてサービス開発等を行い、計画していたプロジェクトを進めます。

資金調達者は出資した人に対する見返りとして、自社の独自のコインや「トークン」と呼ばれる電子データによる証票のようなものを発行します。前述のホワイトペーパーにはこれらの利用方法も記載されており、出資者は完成した商品やサービスを独自のコインを使って割安で購入できたり、受け取ったトークンがサービス利用のための会員証のような役割を果たしたりします。

資金調達者が発行するものは独自のコインや会員証・割引証のように機能するトークンなど、様々なものが考えられます。独自のコインも含めて「トークン」と呼ばれることもあり、ICOは「トークンセール」や「プレセール」と呼ばれることもあります。

従来の資金調達法との違いとメリット

ICOは、大まかな流れとしては従来の新規株式公開による資金調達「IPO」と変わりません。従来のIPOとICOを対比すると、次の表のようになります。

発行するもの 出資者 集める資金
IPO 株式 ベンチャーキャピタル等 法定通貨
ICO 独自のコインや「トークン」 世界中の投資家など 仮想通貨

上記のように、従来の新規株式公開による資金調達(IPO)は、「企業が株式を発行し、ベンチャーキャピタル等から日本円などの法定通貨で出資してもらう」という形でした。

それに対し、ICOは「企業が独自のコインやトークンを発行し、世界中の人々から仮想通貨で出資してもらう」という資金調達法で、仮想通貨を用いる点や、インターネット上のみで行える点に違いがあります。

ICOのメリット

ICOを利用することは、資金調達者にとって、次のようなメリットがあります。

  • ベンチャーキャピタルや銀行などを介在させず、出資者から直接資金を調達できるため、手数料が抑えられ低コストになる
  • 出資は世界中どこからでも、小額からでも行えるため、幅広い層から出資を受けられる
  • 世界中から資金を集める際に、法定通貨と違い資金の移動に関する法規制を受けるようなことがない(ただし、今後法規制が加わる可能性はある)
  • インターネット上で行うため、スピーディーに実施できる

また、出資者にとっては、

  • 手軽に世界中の企業や個人のプロジェクトに対して出資する機会が得られる
  • 小額から出資できる
などのメリットがあります。

ICOの成功例としてのイーサリアム

ICOが注目を浴びるようになったのは、ICOによって巨額の資金を調達することに成功した例が出ているためです。その例とは、アルトコインの1つ「イーサリアム」です。

アルトコインとは?-ビットコイン以外の仮想通貨の銘柄について

2017.11.21

今ではビットコインに次いで第2位の時価総額を誇る仮想通貨となったイーサリアムは、ICOによって誕生しました。

イーサリアムは、2013年にロシア系カナダ人プログラマーのVitalik Buterin氏が当時19歳にして構想を描いた仮想通貨で、段階的にシステムのアップデートが行われることや、マイニングの大企業への集中化を防ぐ仕様などが特徴です。

イーサリアムの開発チームは、仮想通貨Ether(ETH、イーサ)の開発に必要な費用を調達するためにICOを実施しました。その内容は、ビットコインで出資を行うと、開発された仮想通貨Etherを受け取れるというものでした。ICO実施の結果、開発チームは約15億円もの資金を調達することに成功しました。

その後開発は順調に進み、2015年に仮想通貨イーサリアムがリリースされ、出資者は約束通りEtherを受け取りました。イーサリアムの価格は当初1ETH=数百円程度でしたが、2017年6月には1ETH=46,000円以上まで上昇し、ビットコインに次ぐ人気の仮想通貨となりました。出資者たちは値上がりしたEtherの売却によって大きな利益を得ることができました。

このような成功例があることから、出資によって利益を得たいという人や、資金調達を行いたい企業・個人のICOに対する注目度が高まってきています。

金融庁による注意喚起(2017/10/27)の内容

新たな資金調達法として期待が高まるICOですが、現在行われているものの中には詐欺などの危険性が指摘されるものも多く、注意が必要です。

2017年10月27日に金融庁が発表した注意喚起は、次のような内容になっています。

金融庁の注意喚起
  • ICOはリスクが高いものであることを指摘
  • 利用者は高いリスクがあることを理解してトークンの購入を行うように注意喚起
  • 事業者は、自らのサービスが資金決済法や金融商品取引法等の規制対象となる場合には、関係法令において求められる義務を適切に履行する必要があるとする(仮想通貨交換業者として登録が必要になる場合などがある)

ICOはまだ登場して間もない資金調達法であるためリスクもありますが、今回のように注意喚起が行われたり法規制が整ったりすることで、ICOのさらなる広がりにつながることも期待されます。