35億円相当のTetherがハッキング被害にービットコイン価格も一時下落

事件の概要

21日、仮想通貨Tether(テザー)の運営会社Tether Limitedが、およそ3100万ドル(約35億円)相当のTetherが盗まれたと発表しました。

Tether Limitedによると、Tetherはハッキングによって盗み出され、あるアドレス宛に送信されているとのことです。同社は現在システムの一部を停止させ、盗まれたTetherが不正に利用されないよう対策を講じているとしています。また、盗まれたのと同額のTetherを新たに発行する動きもあるようです。

Tetherとは?

TetherはTether Limited社によって発行・運営されるペッグ通貨です。「ペッグ通貨」とは法定通貨に価値が連動するタイプの仮想通貨のことで、Tetherの価値はUSドルやユーロと連動しています。

ペッグ通貨は、「送金手数料が安い」「即時取引が可能」といったブロックチェーンの利点を活かしつつ、法定通貨と価値を連動させることで、価格の大きな変動がなく、利便性と安定性が両立されるというメリットがあります。

運営主体であるTether Limited社は、発行するTetherと同額の法定通貨を保持します。ユーザーが同社の自分の口座にUSドルなどの法定通貨を入金すると同額のTetherを受け取ることができ、同社にTetherを入金すれば同額の法定通貨を受け取れることになっています。

Tetherに関する疑惑

仮想通貨と法定通貨の利点を両立するものとされるTetherですが、近年ある疑惑が生じていました。

上記のようにTetherは同額の法定通貨と交換できることが保証されているため、Tether Limited社は発行したTetherと同額の法定通貨を保有していなければならず、同社のHPにバランスシートを掲載して資産の状況を公開していました。

ところが同社は今年になってTetherの発行量をどんどん増加させており、一方でバランスシートは2017年11月22日現在、今回のハッキング騒動の影響もあってか「メンテナンス中」となっており閲覧できない状態です。

Tetherは「いつでも同額の法定通貨と交換できるデジタル通貨」として発行されています。仮にTether Limited社が発行したTetherと同額の法定通貨を保有しておらず、Tetherと法定通貨の交換ができないということになれば、Tetherの信頼性は大きく低下します。

「Tetherが外部からのハッキングによって盗まれた」と主張する今回の事件は、同様に当初外部からのハッキングを主張していたマウントゴックス事件のときとの類似性も指摘されています。

マウントゴックス事件とは何だったのか

2017.11.21

さらにTether Limited社は、Tetherの取引量が世界一であり同社と資本的な結びつきもある世界最大級の仮想通貨取引所「Bitfinex」と共謀して、法定通貨の裏付けのない大量のTetherを発行しているのではないかという疑惑もあり、Tetherに対する不信感が大きくなりつつあるようです。

事件の影響でビットコインが一時大幅安に

今回のTether盗難事件の後、80万ドルを超えていたビットコイン価格が一時78万ドル程度まで下落しました。

その後価格は持ち直していますが、仮想通貨全体に対する不安感が高まり、代表的な仮想通貨であるビットコインの値下がりを招いたものと考えられます。

Tether Limited社はハッキングされたTetherを無効化するなどの措置を検討しているということですが、ユーザーの信頼を回復するためには、様々な疑惑を払拭する必要がありそうです。