コインチェックにおけるネム不正送金 発生から現在までのまとめ

26日、大手仮想通貨取引所コインチェックにおいて仮想通貨ネムが不正に送金される事案が発生しました。28日未明に同社は被害を受けたユーザーに対して日本円による全額補償を行う方針を発表しました。

 

コインチェックにおけるネム(XEM)不正送金

コインチェック社(以下、CC社とも表記)の発表等に基づくと、今回の出来事のタイムラインは下記の通りです。

ネム不正出金事件のタイムライン

【1月26日】

02:57頃:CC社のネム5億2,300万XEMが不正に送金される(正確な発生時刻は調査中)

11:25:CC社にて残高が異常に減っていることを検知

11:58:ネムの入出金・送金を一時停止

12:52:ネムの売買を一時停止

16:33:日本円を含む全ての取扱通貨の出金・送金を一時停止

17:23:ビットコイン以外の全ての通貨(アルトコイン)の売買・出金・送金を一時停止

18:50頃:クレジットカード、ペイジー、コンビニ入金の一時停止

23:30頃:CC社が記者会見を行う

【1月28日】

未明:コインチェック社が補償方針を発表、被害を受けた顧客が26万人に上ることが明らかに

午後:同社幹部が金融庁に経緯等を報告、今後も事業継続の意向を示す

不正出金の概要と原因

今回の事案は、コインチェック社が保管していた顧客の資産である仮想通貨ネム(XEM)が不正に送金されたもので、不正送金されたネムの数量は5億2,300万XEMであり、事案発生時のレートで日本円に換算するとおよそ580億円相当になります。被害者は事案発生時にコインチェックのアカウント上でネムを保有していたユーザーであり、およそ26万人に上ると発表されました。

 

ネムは「プルーフ・オブ・インポータンス」と呼ばれる報酬獲得の仕組みや全発行量がすでに発行済みであるという点など、ビットコインと異なる特徴を持った通貨で、2017年に大きく値上がりしたアルトコインの1つでした。

アルトコイン「ネム」の概要

2017.11.27

不正送金の原因について同社は現在調査中としていますが、今回不正に送金されたネムはコールドウォレットでの管理が行われていなかったことなどが明らかにされており、セキュリティ対策が不十分だったのではないかとの指摘もなされています。

コールドウォレットとは…

インターネットから隔離された状態で仮想通貨を保管するウォレット。仮想通貨をオフライン状態で管理するため、そうでない場合に比べて安全性が高いと言われています。

補償内容

コインチェック社は下記の内容の補償方針を発表しました(1月27日23:00時点)。

コインチェック社の補償方針
  • 影響のあったネムの保有者全員(約26万人)日本円で返金
  • 補償金額:88.549円×保有XEM数

1XEM=88.549円というレートは、ネムの取引高世界一である仮想通貨取引所ZaifのXEM/JPYのレートを参照し、コインチェックでのネム売買停止時から本補償方針発表時までの期間の出来高の加重平均によって算出したものであるということです。補償はコインチェック社の自己資金により行うとされています。

 

なお、上記の通り補償方針が発表されたものの、補償の手続きが実際に行われる時期については現時点で未定となっています。

 

関連機関とユーザーの反応

今回の問題を受け、昨年4月のいわゆる「仮想通貨法」施行以来、仮想通貨取引所の登録を行っている金融庁は、コインチェックに対して行政処分を検討しているとの報道もあります。

 

また、これまで仮想通貨業界では「日本ブロックチェーン協会」と「日本仮想通貨事業者協会」という2つの団体が存在しましたが、この2つを統合して自主規制や安全管理に対する基準をより強固にし、業界の信頼回復を目指そうとする動きも出ているということです。

 

今回のネムの不正送金に対し、ネムの普及・推進を行うネム財団は「不正送金が行われる以前の状態にブロックチェーンを巻き戻すハードフォークを実行することはできかねる」としながらも、盗まれたXEMの追跡を進めており、不正送金を行ったハッカーによるXEMの現金化等を防ぐとしています。

 

補償方針が発表されたことにより、ユーザーからはひとまず安堵の声も出ているものの、日本円での返金ということからXEMの長期保有を予定していた投資家にとっては思わぬ形での利益確定となる見込みで、今後もしばらくの間は混乱が続くことが予想されます。