金融庁で仮想通貨の研究会が初開催 17事業者からの国内市況データを公表

金融庁で10日、第一回目となる「仮想通貨交換業等に関する研究会」が開催されました。


議事内容は仮想通貨の投資者保護や仮想通貨を利用した新たな資金調達法であるICO(イニシャル・コイン・オファリング)をめぐる問題についてで、「制度的な対応を検討するため」として本研究会が設置・開催されました。

仮想通貨を利用したICOとは

2017.11.24

参加メンバーは経済・法学分野の有識者や金融関連の実務家等で、仮想通貨事業者の業界団体である「日本仮想通貨交換業協会」理事の奥山泰全・マネーパートナーズ代表取締役がオブザーバーとして出席し、同協会から国内の登録業者14社、みなし業者3社を含む計17社からのデータに基づいた国内での取引状況等の公表が行われました。


日本仮想通貨交換業協会による公開資料より、国内での取引状況に関する情報を一部抜粋して紹介します。


出典:仮想通貨取引についての現状報告 – 一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(金融庁) (https://www.fsa.go.jp/news/30/singi/20180410-3.pdf)

【以下の国内業者における情報】
株式会社マネーパートナーズ、QUOINE株式会社、SBIバーチャル・カレンシーズ株式会社、ビットバンク株式会社、GMOコイン株式会社、ビットトレード株式会社、 BTCボックス株式会社、株式会社ビットポイントジャパン、株式会社DMM Bitcoin、株式会社ビットアルゴ取引所東京、エフ・ティ・ティ株式会社、株式会社フィスコ仮想通貨取引所、テックビューロ株式会社、株式会社Xtheta、コインチェック株式会社、バイクリメンツ株式会社、株式会社 CAMPFIRE

取引量

【金融庁の公開資料より】


現物取引の規模は、平成26年度から28年度まで、毎年約25倍に増加してきたことが示されています。28年度から29年度にかけても、1兆5369億円から12兆7140億円と8倍以上に増加しています。


証拠金・信用・先物取引はさらに急速な伸びを見せており、前年比で27年度は約13.5倍、28年度は約73倍、29年度は約28.5倍の56兆4325億円で、現物取引の12兆7140億円の約4.4倍となっています。


29年度の現物取引と証拠金・信用・先物取引の割合をさらに詳しく見ると、下記の通りで、現物取引が全体の18.39%、証拠金・信用・先物取引が81.61%という状況です。


【金融庁の公開資料より】


証拠金・信用・先物取引の内訳は、証拠金取引が97.44%、信用取引が1.13%、先物取引が1.43%で証拠金取引が圧倒的な割合を占めています。


ただし、下記の通貨別データを見ると、現物取引よりも証拠金・信用・先物取引の量が多くなっているのはビットコインのみで、ビットコインにおいても証拠金・信用・先物取引の量が現物取引を上回ったのは28年度に入ってからであることがわかります。


【金融庁の公開資料より】


証拠金取引を提供している国内業者はGMOコイン、DMM Bitcoin、ビットフライヤーなどがあります。


GMOコインではビットコインFXを提供しており、スマートフォンで簡単に取引できる専用アプリが好評を博し、昨年後半に広がったビットコインFXブームを牽引した存在と言えます。



今年1月に取引所をスタートしたDMM Bitcoinでは、イーサリアムやリップルなどのアルトコインを含む7種類の豊富な仮想通貨レバレッジ取引を提供しており、レバレッジ取引ユーザーの増加に貢献したと見られます。



ユーザーの分布

ユーザーの年代層を見ると、現物取引、証拠金等取引のどちらにおいても30代が中心層となっており、現物取引では20〜40代が全体の90%を占めています。


また、合計ユーザー数は現物取引で350万名証拠金・信用・先物取引で142,842名となっており、現物取引を行うアカウントの方が多いことがわかります。


複数の取引所にアカウントを持つユーザーが多数いると考えられるため、このユーザー数はあくまでも参考値となりますが、コインチェックでの不正送金発生時点で同社のアカウントで仮想通貨ネムを所有していた人が26万人いたことを考えると、数百万人単位のユーザーがいることは確実と思われます。


口座残高

預かり資産額に関するデータによると、口座の残高は10万円未満が77.16%となっており、今回の調査結果では1億円以上が預け入れられている口座は0.02%の268口座ということでした。


【金融庁の公開資料より】


本データは今年3月時点で取引所の口座に預け入れられている残高なので、1月末のコインチェックにおける不正送金事件をきっかけに、一定数のユーザーが資産を取引所のアカウントから自身のウォレット等に移した後の状況であると推測されます。


入出金状況

国内での資金流入は一昨年頃から増加しており、特に昨年12月の入金額は1兆1714億2121万円で前月に比べ約13倍の大幅な増加となっています。


昨年12月にはコインチェック社がテレビCMの放映を開始しており、仮想通貨の急速な価格上昇と相まってユーザー数や入金額の増加に繋がったものと見られます。


【金融庁の公開資料より】


今年に入って流入額は落ち着いていますが、市場が下落傾向であることに加え、1〜3月は確定申告シーズンであったことも影響していると考えられます。


まとめ

このほか、ビットコインによる支払いが可能な国内の店舗数が52,000箇所以上に上ることや、各社のセキュリティ対策の状況などに関するデータが公開されました。また、みずほ証券株式会社の担当者より、ICOの概要や課題に関する説明が行われ、続いて討議が行われました。


報道によると、研究会では規制の強化を求める意見や仮想通貨に否定的な意見も上がった一方で、仮想通貨や新たな資金調達法であるICOの活用の可能性についても意見が交わされたということです。


会場は多数の記者や傍聴者で満員だったということで、仮想通貨に対する世間の関心の高さがうかがえます。


第一回目となる今回の会合では、初めて国内各社の利用者数や取引量などの包括的なデータが公表され、改めて仮想通貨が大きな勢いを持つことが明らかになりました。今回の成果をもとに、仮想通貨業界が次なるフェーズへと進むことが期待されます。